お嬢様の秘密Ⅱ
「少しは落ち着いたかしら?」


「まぁ……さっきよりは、ね。」


お母さんのお茶の味はどこかローゼ様を感じさせた。


「学園のことはよく聞いているわよ。あなたはどうしたいの?」


「分からないの……。今まで何だったのかなって。」


「学園には戻りたくないの?」


「だって私があそこに通う理由なんて……!」


ない、って言おうとしたけど…。


頭に最後にあった葵の必死な顔が浮かんできた。


-バタン


急に襖を開けて入ってきたのは……。


「国松さん!?竜也さんも……。」


雷也さんが二人を学園から呼び寄せたらしい。


「沙那様、テレビを見ましたか?」


「見てないけど、その様子はただ事ではないようね。ユリ、急ぐわよ。」


お母さんに急に腕を引っ張られ、テレビのある部屋に連れていかれた。
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