お嬢様の秘密Ⅱ
「久しぶりに部屋に入ったとき、生活感はなかったけど半年前と変わらずに綺麗に保たれていてびっくりしました。」


部屋に入り、ソファに腰掛けながらユリはそう話した。


「そりゃそうよ、この屋敷の使用人はプロだもの。ユリ、ココアでいい?」


「うん………ありがとう。」


私が差し出したコップを受け取り、そっと飲んでいた。


………可愛らしく飲むわね………


本人は自覚なんてないだろうけど。


「美味しい……。やっぱり………莉依紗様と味が同じ。」


「あら、お姉様が淹れるなんて珍しいことをしたものね。………もう限界だったのかしら。」


「珍しいの?………限界って?」


「私達のお母様は茶道家なのよ。お姉様はなんでも出来るけどココアと紅茶は淹れるのが得意なの。

でも上の者がお茶を淹れるなんて社交界的の暗黙のルール、滅多にないわ。

ちなみにお父様とは高校の同級生で、お母様のお家柄はよろしい方だったから特に反対もなく結婚したらしいわ。」


「詳しいの……?」


「親がバカップルでこんな話耳にタコよ。聞きたかったらそれなりの覚悟を持って聞くことね。」


お父様の武勇伝とかかなりあるわ。


「そうなんだ………。」


ユリも引き気味。
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