お嬢様の秘密Ⅱ
親の話はさておき、少し話を変えることにした。


「お姉様が倒れたって聞いたとき………ユリを私に預けてからだけどお義兄様の心配は過保護レベルだったわ………。」


奈々子様大好きな誠一郎様の血を強く引きすぎているんだわ、お義兄様………。


「ところでお母さんはいつ結婚したの?」


「ユリが4歳くらいかな。」


「私がいたなら………結婚に不利じゃなかったの………?」


ユリはポツリとそう言った。


優しい子だから………気にしてくれたのね………。


「全く問題なかったわ。私が嫁いだ稲生家は山岸家と昔から縁のある家で、政略結婚だったの。」


「政略結婚………。それで相手は納得してくれたんですか?」


「もちろんよ。稲生家のご当主はお父様とは知己の仲でご理解がある方だったの。

………秋本家はユリが継ぐべきで、恵梨香さん達にはかなり否定的だったのよ。」


私の言葉を聞いたユリは驚いたようだった。


「政略結婚は……嫌じゃなかったんですか?」


……ユリはそれを気にしてたんだ………


誠一郎様は愛孫を政略結婚の道具にするほど愛情は薄くないわよ。


ユリが生まれた時、本人には言わないけどかなりデレデレだったし。


「政略結婚……言葉で言うとキツいけど私たちはそうでもなかったの。

たまに家に遊びに来て顔合わせしていたし、幼馴染みたいなものだったから。」


「そんな政略結婚もあるんですね……。」


私を見つめ返したユリはホッとした様子だった。
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