お嬢様の秘密Ⅱ
「ねえ、ユリ。………本題入ってもいいかしら?」


私の話をしたかったわけではないから。


「お姉様のことどう思ってるの?………正直に聞きたいの。」


………どうして辛そうな顔をするの………


「………分からない、です。学園長だってずっと思い込んでたから急に母親だって言われて………。

後継だなんて寝耳に水だし………。突き放されたり優しくされたり………。」


私はぎゅっとユリを抱きしめた。


「お姉様は立場上謝れないから………ごめんね、ユリ………今まで黙ってごめんなさい………。」


腕の中のユリは我慢の限界だったのか泣き出してしまった。


「………お母さん………やっぱり姉妹なんだね………。声、そっくり………。」


「よく言われたわ。………お姉様はどこか不器用で、だけど自分が会えない代わりにちゃんとユリの外堀は守っていたのよ。」


「なに、それ………。」


「今まで黙っていたけど………。ユリがいじめられていた時、夏菜さんたちに言えなくて1人で泣いていたとき慰めたり、いじめをこっそり止めてくれた子いたでしょう?」


涙が止まりかけて冷静になったのか、考えられるようになったみたい。


抱きしめていた腕を緩めて、ユリをソファに座らせた。


「りょう兄ちゃん………?」


「そう、あれ私の上の兄様の子よ。志穂の婚約者で実は裃にいるのよ。」


今がチャンスね………何人か言ってしまおう。


「ユリが中学生の時学校帰りに通っていた神社の子供、あれは私の子。小学生の時、下級生に慕われていたでしょう?」


「3人くらい………まさか。」


そのまさかよ。


「………あなたの弟たちよ。」


唖然とした顔………美少女がもったいないわよ。
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