お嬢様の秘密Ⅱ
「っていうか………道理でなんとなく懐かしい気分になったんだ………。

でも私に弟がいるならなんで会社をお祖父様は継がせようとしないの?」


「兄様たちの子は亮治様と、もう1人里奈様がいるんだけど、ユリほど運動が出来るわけではないの。

お父様は会社経営の方を手伝ってほしいみたい。」


まあ、ユリが出来すぎるんだけど。


「私は稲生家に嫁いだ身だから継がせないし、あとはお姉様の子。

幸いみんなハイスペックだし、弟はなんか検事になりたいらしいよ。」


うちの家系、警察ばっかだと思われがちだけど検察官もいることはいる。


「………残りは育ちが特殊な私ってことですか。妹もいるんでしょ?」


「妹は多分政略結婚かな。といっても仲いい子がなかなかの家の出身だから恋愛結婚かも。」


ユリがなんだか脱力したように見えるんだけど………気のせいよね。


「ねえユリ………本当に戻るの………春日でもいいじゃない、私が頼んでも………。」


「私が決めたの!」


ユリの決意のこもった声に思わず言葉をやめた。


「私は………守られてばっかりで何もしていないから。

それにいくら秋本家が情報統制に優れていても真理亜様が言ったことはもう取り消せないし広まるはず。

もし規制なんてしたら………家の信用問題になっちゃうわ。」


そこまで見抜いていたなんて………。


的を的確に得たユリの言葉に返す言葉がない。
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