お嬢様の秘密Ⅱ
「戻ってこられたのね。………ユリさん。」


権力者特有の威圧感、何も語らない目が私に迫る。


震えそうな足を踏みしめて、無理やり笑顔を作った。


「ええ、おかげさまで。………お姉様。」


「「「え…………」」」


「今あの子お姉様って………。」


「でもマリア様がどこのお家の方か分からないんだけど。」


「じゃあ先日マリア様が言ってらしたことは………。」


ーザワザワ


私たちを取り込んでいるギャラリーは一斉にざわめいた。


「ユリ、なんで今マリア様を!!」


どこかで聞いたことのある声に思わず背中を凍らせてしまった。


夏菜の整った眉が一瞬下がったのを私は見てしまった。


………だいぶお怒りのようだ………


後ろの群衆から1人飛び出してきたのは………


「陽菜。下がりなさい。あなたは特別生ではないわ。わきまえなさい。」


………特別扱いをしていることをばれないようにするためかな。


陽菜に注意し改めて私を見た。


「ユリ………勝負する気ってことで受け止めてもいいのかしら。」


人前で初めて私のことを呼び捨てした。


「私はこれまでの無知さを改めようと挨拶したまでですわ。」


名言は避けて軽くあしらった。


そして私は真理亜に背を向けた。
< 149 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop