お嬢様の秘密Ⅱ
私たちが今いるのはフラワーガーデン。


校舎を背にして学園長……シルバー様は無表情で立っていた。


私を始め、真理亜様以外は全員一礼した。


「あら、挨拶なしなんて私も舐められたものね、真理亜。」


「対等な立場にいるお母様に挨拶なんていらないわよね?」


“お母様”という言葉に周りがざわついたが私はシルバー様の眉が動いたのを見逃さなかった。


「私はユリの母親よ。あなたの母親は別でしょう。どこから情報を仕入れてきたのかは知らないけど。」


はっきりと、怒気を含めた声で言い張った。


ざわついていた周りは一気に静まる。


「私は養女でしょ?………何を今更。」


「ユリが自分の出自を明かした。あなたも教えて差し上げなさいよ。」


「しょうがないわね。皆さん、お察しの通り、私は秋本真理亜。秋本家の後継者です。」


………今なんて?


「ユリ、あなたは候補にすぎないわ。」


「まだ正式決定されていないのにどうしてそんなことが言えるの?」


「口を慎みなさい!あなたは自分の状況を分かっているのかしら?」


………私の状況?


チラッと広大さんの方を見たけど首を振っていた。


そもそも広大さんが私の執事を担当していることを真理亜様は知らないと思う。


………広大さんがお祖父様の執事だってことを知られないようにしないと。





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