お嬢様の秘密Ⅱ
「ん………。」


急遽調達してきたソファに寝ていたユリ。


起きちゃったかな………


「葵………行かないで………。」


………寝言だった。


そんなに心の中で高澤君が大きくなっていたんだね………


「もしかしてユリって………。」


誰に聞かれているか分からないから亮治様の近くに寄って耳打ちした。


「私しか知らなかったからね。高澤君とユリは付き合っていたのよ。志穂ちゃんは知らないから言わないで。」


「好きな人出来るようになったんだな……。」


ユリの頭を撫でている様子はなんだかお父さんみたいだ。


「亮治様。ユリに手を貸してくれませんか……。」


「………何を?志穂を守ること?」


「それもありますが………。」








「…………そんなことを。分かった。お祖父様に頼んでみる。」


「ええ………是非お願いします。」


ユリの協力者を増やすことしか私には出来ないから。


「………夏菜様?私はいとことして、兄としてお願いします。ユリをお願いします。」


なんか結婚の約束みたいで思わず笑ってしまった。


「はい。喜んでご協力いたしますわ。」


もっと早く出会っていたらユリが安心して学園に来れたのかもしれないと思うと、ちょっと残念に思った。


-夏菜side end-
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