お嬢様の秘密Ⅱ
午後のささやかなお茶会が終わり、ジャックが淹れてくれた紅茶をすする。


「ありがとう。もう下がっていいわ。」


「かしこまりました。」


誰もいないのを確認して、歩く練習をするためにゆっくりと車椅子から立ち上がってそっと歩みを進めた。


………やっぱり力加減が難しいわね………


小さいころの精神的ショックとジャックから診断された。


初等部に入学する前から急に歩けなくなった。


「お母様は何を望んでいたんでしょうね………。」


私はちゃんと“いい子”になれたのかしら………


今日見た悪夢を思い出してしまった。





なんとなく綺麗に咲いていた近くにあった花を手に取ろうとしてよろけてしまった。


「あっ………。」


床に尻餅をつきそうになった瞬間、支えの手が伸びた。


「人払いをしていたようで。勝手に入ってすいませんでした。」


「いいえ。ありがとう理央様。」


ゆっくりと私を立たせる。


「部屋に戻るわ。なんだか嫌なこと思い出してしまったの。」


「かしこまりました。ご夕食はお部屋にお持ちいたしましょうか?」


「そうしてくれるかしら。」


今はなんだか1人になりたい。


部屋に案内してもらってベッドに横になった。
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