お嬢様の秘密Ⅱ
「莉依紗、これを見ろ。」


お父様が私に渡してきたのは1枚の地図。


「安藤隆治がここの学園長時代に俺にくれたあいつ特製の裏道地図だ。」


何ですって!?


「………私この裏道知らなかったわ。ところで安藤先生とお父様って一体どういう………。」


「あいつは高校の部活の後輩だ。」


そんな繋がりがあったのね………。


あの高校、公立のくせして御曹司とか令嬢とか通っている人が多いのね……。


まあだからユリに行かせようとしたんだけど。


「…………本題に入っていいか?」


「…………そうね。お父様もお忙しい方だし何より裏道を使ってまで私に会いに来てくださったものね。」


………何の話をしに来たのかしら………







「…………莉依紗、客観的視点を取り戻せ。」


…………え?


どういう意味よ……。


「お前はまだ恵梨香を嫌っているんだろう?」


………身が震えるようだった。


「…………それが何か。」


自分の口から出た声はあまりにも冷たかった。


「…………冷静な判断が出来ていないと言っておるのだ。過去に縛られすぎてな。」


…………そうかもしれない。


「俺は教えたはずだぞ。守るものがあるならまず客観的視点から判断しろと。」



『私情を挟むな』



これは私の課題で、お父様みたいになかなか割り切れない。


「俺が何でそういうことを教えたのか分かっていないのか?私情を少しでも挟んだら私情に邪魔されて盲点だらけになる。

それでは何の解決にもならないし、力のあるものが保護したいときはパワーバランスを考えてある程度突き放さなければ危険をさそうだけだ。」


保護することは大事なことだが保護しすぎては危険が増えるだけ。


「………奈々子がカフェで襲われかけたときに思ったことだ。あいつは守りすぎてて結局奈々子を守れていない。」


………お父様と奈々子お母様は親友だったって昔聞いたことがある。


毒薬じゃなくて睡眠薬に近いものだったからよかったけどと何年後かに大樹に聞いている。


襲ったのが恵梨香だってことも。
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