お嬢様の秘密Ⅱ
ユリが帰って数時間後。


ようやく気持ちを落ち着かせた私はジャックに電話した。


「ジャック、今から真理亜に取り次いでいただけないかしら?」


「かしこまりました。」


本当なら国松を通してやったほうがいいのだけれど真理亜の場合はそういうわけにはいかない。


「奥様、珍しいですね。」


まあ確かにね。


「さっきユリに言われてなんとなく会ったほうがいい気がしたの。」


ふとさっきの資料を思い出した。


「ジャックって私と同い年なのね。」


「裏取りましたが確かにそうでした。………ところで奥様はジャックは誰か似ていると思いませんか?」


「誰かって?」


西洋風の顔立ちと言ってしまえばおしまいだがアジア系と言っても通じるかもしれない。


「私の気のせいです、お気になさらないでください。」


「そう?………ジャックから連絡は来た?」


「ええっと………はい。今来まして、これからお会いになってくださるそうですよ。」


「今日じゃないと都合が悪かったからちょうどいいわ。今から行きましょう。」


「はい。かしこまりました。」


「竜也、留守をよろしくね。」


しばらく竜也は実家に帰っていたが最近戻ってきた。


「はい。お任せくださいませ。」


私は国松を引き連れてフラワー宮に向かった。
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