お嬢様の秘密Ⅱ
「私はお母様に『学園長とは仲がいいの。だから逆らったら学園にいられないわよ。』と聞かされていたのよ。」


「私と恵梨香、どっちを信じるの?」


にらんでいた目は少し緩み、穏やかな表情になった。


「………シルバー様。だって私の情報網や調査力は舐めていないだろうし。」


真理亜らしい自信にあふれた理由に思わずクスッと笑った。


「そうね。舐めるどころか脅威にすら感じているわよ。」


話がひと段落したところでジャックがお茶を持ってきた。


「どうぞ。お召し上がりくださいませ。」


一口飲もうとしたが。


「真理亜………?ちょっとどうしたの!?」


先に飲んだ真理亜が目を閉じながら背もたれに倒れていく。


………そういうことか。


「ジャック、真理亜を眠らせてまで何がしたいの?」


「………ひとつ忠告を。お嬢様をお守りするのは私では限界というものがあります。」


「眠らせてまでするような話ではないわね。それに守るのは私の仕事ではないわ。」


真理亜の髪からかすかにシトラスの香りがする。


………あの子、本当に手が早いんだから。


「私からひとついいかしら?」


「何でしょう?」


私はジャックに冷たい目を向けた。


「あなたたち、私の邪魔をしないでくれる?」


ジャックがひるんだ隙に私は国松を引っ張って部屋に帰った。

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