お嬢様の秘密Ⅱ
「それで?あなたの方は?」


部屋に帰って今日の報告をまとめる。


「証拠品は取れました。鑑識に回しておきます。」


「了解。私直々にあっちに行ってくるわ。」


ついでに紅茶に入れられたものも調べておこうかな。


おそらく弱めの睡眠薬だと思うけど。


でもジャックは一応医者だから入手方法はいくらでもあるし怪しむ要素はない。


「しかし………真理亜様は変わられましたね。」


国松がボソッとつぶやいた。


「………私もそう思うわ。やり方に問題があるけど真理亜にとって今はとても平穏で安心できているはずだもの。」


髪からかすかに香る匂いが証拠かしら。


「さあ、屋敷に帰りましょうか。ずっとここにいたんじゃ気が滅入るわ。」


「そうですね。もう竜也が車の用意はしたと連絡来ましたし。」


「さすが仕事が早いわ。では行きましょうか。」


国松が私の荷物をまとめるのを待ち、部屋を出た。





「奥様、お乗りくださいませ。」


「ありがとう。今日は白のリムジンなのね?」


「そうですね。奥様は最近学園長室に缶詰状態か、事件現場で張り込みすることが多かったでしょう?

だから気分転換に車体の色を変えてみたんですよ。」


「お気遣いありがとう。」


……今は夜だから色の違いがよく分からないなんて言わないけど。


竜也の少し天然な気遣いに思わずほおが緩んでしまった。





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