お嬢様の秘密Ⅱ
「ねえユリ。頼みがあるの。」


いきなり真理亜様は話題を変えた。


「後継者を譲る条件をつけていい?」


………さっきの真理亜様の言葉でわかったような気がする。


「………理央をお姉様のそばから離さないことでしょう?」


「なんでわかったの?」


「………理央の名前を出すとき恥ずかしそうだったから。

それと高澤様との婚約発表より、理央を第一執事につけたことの方が嬉しそうだったって夏菜が言ってたし。

お姉様が最近ますます女らしくなったのも関係あるのかな?」


真理亜様は顔を真っ赤にした。


「人のことは鋭いのね………!じゃあ呑んでくれるの?」


心配そうに私を見つめる。


「もちろんよ。秋本家の後継者条件の1つであるSランクかつ長男っていうのは私も満たしているから。」


「………よかった………。」


安心する真理亜様は本当に可愛らしい。


ーコンコン


部屋のノックオンだけなのに肩が震えてしまった。


真理亜様は私の肩をそっと抱きしめてくれる。


「入っていいわよ。」


「失礼いたします。夏菜様と安藤様と高澤様をお連れしました。」


「ありがとう、美穂。紅茶の用意を持ってきたら今日はもうお休みなさい。」


「かしこまりました。」


部屋に3人が礼儀正しく入ってきた。



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