お嬢様の秘密Ⅱ
………うわあすごい。


ウォークインクローゼットもあるし寮の一室みたいになってる。


「ここはドレスをレンタルする場所なんだと。でももうみんな夏休み前だから借り終わってるらしいぞ。」


ーガチャ


葵は鍵を閉めた。


「何で締めたの?」


「こういうことだ。」


さっきからずっと腰に回されていた手に私の体のラインがなぞられる。


「………ああっ………。」


「感じやすいな。ここなら誰も来ないし防音壁だから声を出してもバレないぞ?」


この部屋………ベッドもソファーも良さそうなやつが置いてある……。


腰からお尻の方へ手が移っていく。


力が抜けて葵にもたれかかってしまった。


「………準備しなきゃ。葵もでしょ?」


上目遣いで見ると葵はいつになく寂しそうな表情だった。


「………ユリ、お前今何考えてるんだ?」


「え………?」


何って………


それは…………


「浅井が教えてくれたが………。本気になったユリは怖いって。どういうことだ?」


「………小学校の時、私の前で夏菜が意地悪されていたことがあって夏菜が泣きそうな顔で私に助けを求めてきたの。

だから………首に手刀を入れただけだよ。

でも心の中ですごく燃えているものがあって………。私怒ってたみたい。」


「そのあとどうなったんだ?」


「夏菜を慰めている間に逃げて行ったわ。その時からかな、夏菜を守らなきゃって思ったの。」


なんだか懐かしい………だけど大事な思い出。
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