お嬢様の秘密Ⅱ
「ユリ、来るのが遅れてすまん。改めて自己紹介を。俺は山岸辰彦だ。」


「旗当番のおじさんだったよね?」


「そう。ユリの警護だけをこっそりやっていた。あの時はもう現場で仕事する立場にいなかったからな。」


経てば辰彦お祖父様の微笑みにようやく………清算出来たんだと実感した。


「大役を任せて悪かった。俺と誠一郎は仕事に戻る。」


忙しいところ来てもらって申し訳なかったな………




安心したところでまたお腹に激痛が走った。


そういえば撃たれていたんだっけ………


「ユリ!」


「………夏菜………。終わったよ………。」


「リムジンで計画を聞いた時にはどうなるかと思ったけど………。」


泣きそうな顔で必死に笑ってくれる姿にまたホッとした気持ちになれた。


「玲央、葵………。」


「俺は自分からお前の事情を夏菜に話しておくから。戻ってきた理由をな。」


「よろしく。」





そして………葵が私と目線を合わせてくれた………


ーギュッ


「………これで邪魔する奴はいなくなったな。」


「うん。………これで葵の横にいられる………。」


出血量がヤバいかも………


体が崩れ落ちていくような感覚。


「ユリ?ユリ………?」


葵が私の名前を呼ぶ声が遠くなっていった………



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