お嬢様の秘密Ⅱ
「手術はりいの主治医だ。だから傷1つ残すなと脅しておいたから大丈夫。」


あいつか………


妊娠している今、かなりお世話になっているわ。


「なあ、りい。今改めて言うけど、俺は俺の意志でりいと結婚したから。誰の指図も受けず。

だからユリが怪我したのはりいのせいじゃない。」


「………大樹?」


「お前はすぐ自分を責めるだろ?ユリは弾丸を避けられるのに当たったって。私が恵梨香に譲ればとか思ってたんじゃないの?」


「………っ!」


なんとなく思いかけていたことを当てられた。


「りいの考えてることならお見通しだから。

もし恵梨香を押し付けられたとしても俺はりいを愛人にしてたと思うよ。親父だって裏で認めるだろうし。」


「そんなこと………。」


「あるから。今りいに言いたいのは自分を大事にしろって言うこと。ユリにも言えるかもしれないけど。

ユリは………ただ守りたくて莉依紗を守っただけだよ。」


ユリ…………


目から涙が溢れてきた。


「ごめんなさい………。」


「りい、違うだろ?」


そうだね………


「ありがとう…………。」


「そう。よく出来ました。」


大樹は涙で濡れた目尻をペロッと舐めた。
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