お嬢様の秘密Ⅱ
校舎を出るとき、


えりーに向けた憎悪が背中からひしひしと伝わってきた。


いや、私に対してだわ。


最近、特に夏休み開けて何日か経った今では、何をしても全く無反応で返すし、隠しているがかなり高い地位にある家出身のえりーより、一般人である、私に標的が変わっている。


「なんなのあの子。一般人のくせに。成績いいから学費免除でしょ?」


「でもあの子は一般で通っているから成績が落ちても平均と比べて少し高い位の学費ですむそうよ。」


「でも、お金持っていないのよね?成績落ちたら払えるのかしら?」


ヒソヒソと話しているが私は耳がいいので全て聞こえてしまう。






「山岸さんも一緒に。」


え?


何の話?


後ろに気を取られて何も聞いていなかった。


「一緒に制度使ってサボるかってこと。」


こっそりとえりーが耳打ちしてくれた。


え、私も?


いいのかな....。


だって2人婚約してるんでしょ?


「りー、あなたも一緒よ。」


えりーは私を安心させるように笑った。


「ありがとう....。ではご一緒させていただきますね。」


大樹様は少し表情を柔らかくして微笑んだようにみえた。


.....気のせいよね。


とりあえず完全にいじめの対象が私に向くまで、えりーを一人にするわけにはいかない。


「では行きましょうか。」


大樹様はてきぱきと執事の桜井竜也様に指示されていく。


その横顔に少しドキっとしてしまった私がいた。
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