お嬢様の秘密Ⅱ
「………葵、俺はやらないからな。」


「………お父さん。」


私を見てニヤッと笑った。


「葵はどうやら欲求不満のようだから頑張れよ、ユリ。」


「ちょっと大樹様!」


困った顔をする私と不機嫌に反論する葵。


「……元気になったみたいだな。明日親父が来るかも。」


「俺の親も来るみたいです。………彼女が見たいって。」


「じゃあ私たちも来ましょうか。」


………勝手に話を進めないで。


「じゃあ俺は仕事だからまた明日来るな、ユリ。」


お父さんは忙しいんだな………


お母さんも少し寂しそうな顔をしていた。


「莉依紗様、ちょっとよろしいですか?」


「何?」


葵は一体何を聞くんだろう?


「………どうやって精神状態を安定させたんですか?」


そういえば子供に響くほど大きなショックを受けていたような………


「………さっきのあなたたちと同じようなことやっていたわ。」


少し赤くしたお母さんは妊婦のようには見えなかった。


「ねえユリ、あなたの部屋は面会時間が無制限なんだけどいい?」


「私はいいけど………大丈夫なの?」


病院の人困らないの?


「………ここの経営はお父様の弟だから大丈夫よ。じゃあ私は帰るわね。」


葵にウィンクして帰って行った。
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