お嬢様の秘密Ⅱ
「ユリ、山岸家は気にしなくていいからな。息子2人は武術に疎かったから娘に任せただけだから。」


「沙那叔母様も刑事だったの?」


「そうじゃよ。でも結婚して寿退社しとるがな。」


のんびりしてるように見えるが仕事をすると怖いぞと肩をすくめながら教えてくれた。


確かにあの叔母様が警棒を振り回しているところは想像できない。


「莉依紗も沙那も妊娠しとるからしばらくは私を頼ってくれんか。あいつらかなり無茶するから。」


「………お祖父様のお手を煩わすような事件が起きないことを祈ります。」


「それが一番じゃな。」


人が傷つくのは見たくない。


「それでもう1つ言いたいことがあるんじゃが………。」


「何でしょうか?」


お祖父様は私の肩をポンと叩いた。


「………山岸家の長が警視総監だってことをもし使いたかったら使って良いからな。」


それって………


「………隠しておくべきことじゃないんですか?お祖父様だって簡単にバラされたら困るでしょう?」


「………人の心配はしなくて良いぞ、ユリ。」


優しそうな目から鋭く真剣な目つきになった。


威圧感すら感じて自然と背筋が伸びた。
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