お嬢様の秘密Ⅱ
「今回の件でわしの孫だってことに気づいた人はいるはずじゃ。それに会社の方は息子たちに任せてあるから心配しなくても良い。」


「お祖父様………。」


ゆっくりと引き寄せられてギュッと抱きしめられた。


「………反省したんじゃよこれでも。誰が主犯かはおおよそ分かっていたが証拠が見つけられなかった。

だからユリは囮に出たんじゃろ?」


「………お母様たちが巻き込まれて苦しんでいるの見たくなかった。だから清算しようと思ったの。」


「………沙那の育てが良かったんじゃな。ユリは優しすぎるんじゃ。」


そっと頭を撫でてくれた。


「………自分の大事な孫が傷つけられて黙って見ているしかなかった。」


「お祖父様………。」


そんなことないのに。


「………駆けつけてくれたでしょ?お祖父ちゃん。」


「ユリ………。」


あえてタメ口で言ってみたけど………なんか嬉しそうだった。


「敬語で話されるより親しみがあって良いな………。」


「じゃあ公の場以外はこの話し方にするから。誠一郎お祖父様も時々この話し方にしているし。」


「あいつにもか!?………先越された気分だ………。」


お祖父様凄く悔しそう。


「………お祖父様、そろそろ参りましょう?」


「………そうじゃな。」


実は目的はもう1つあった。
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