お嬢様の秘密Ⅱ
「相変わらずデカイなここの家は………。あいつは会社におるからほとんど住んでおらんというのに。」


「いや、山岸家もだいぶ大きいけど……。」


私とお祖父様がいるのは秋本家の本家。


本社オフィスから割と近い場所にあって、今は会長しか住んでいないそう。


その会長もほとんどオフィスにいるから別荘みたいになっている。


お母様たちは学園長が住まう屋敷にいることが多くて、本家は半分くらいの割合でしかいないみたい。


「ユリ?遅かったな。」


通されたサロンで待っていると、私服を着た誠一郎お祖父様がいらっしゃった。


お祖父様が私服着ているの初めて見た………。


スーツを着ているよりずいぶん若く見える気がする。


と言っても、もともと若く見えるんだけど。


「お久しぶりです。山岸家で少し長居したかもしれないです。」


病院で会った時以来かな。


あの後海外に出張行ってたみたいだし。


「じゃあ、辰彦のせいだな?」


ギロッと辰彦お祖父様の方を睨んだ。


「いや、別にそういうつもりでは………。」


「さすがユリ。優しいのう………。そんな強面じゃユリに引かれるぞ。」


…………肉親であるお祖父様たちに挟まれてタジタジになってしまった私。


………誰でもいいから助けて………


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