お嬢様の秘密Ⅱ
「………ユリはお経を唱えられたのか?」


「違うわ。………ちょっと練習してきたの。」


お祖母様に自分の言葉で供養したかったから。


「そうか………。ありがとう。喜んでいるんじゃないか、奈々子。」


誠一郎お祖父様はそっと頭を撫でてくれた。


そろそろお暇をする時間だったからエントランスに案内してもらった。


「………今度は雪穂も連れてくるから。ユリにも会わせたいし。」


そういえば本家に行っても会えなかった。


「雪穂お祖母様って今どちらに?」


「ニューヨークでモデル営業中だ。もうしばらくしたら帰ってくるだろうよ。」


………モデル!?


一瞬気が遠くなりかけた。


お祖父様たちって政界にも芸能界にも財界にも顔きいてるよね………


改めてすごい人と話しているんだと気後れしていた。


「ユリ、しばらくしたらまた呼ぶかもしれない。それと学園長は渚さんに代理をやってもらうから。」


渚さん………ああ!


お母様の友達だ。


「渚ちゃんか………。今は何してるんじゃったかな?」


「あの子は結構謎だからまたこっちで下調べしとくよ。」


データはすべて俺の手中だ、と言って笑う辰彦お祖父様に少し恐怖を覚えた。


どこでどうつながりがあるのかは分からないな………


「困った時はわしでも辰彦にでもすぐに言えばよいからな。わかったか?」


お祖父様たちが私を見る目は暖かかった。
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