お嬢様の秘密Ⅱ
葵とお姉様は始まるギリギリ前にやってきた。


そうでもしないと人気のある2人は大変だからね。


お姉様は私の方をチラッと見て軽く手を振ってくれた。


美少女って何やっても絵になるな………。


ほら、また男の子が鼻血出しちゃってるよ………。


先生もその光景を見ながら苦笑いを浮かべて教室に入ってきた。


「相変わらずですわね………。」


それでもテキパキと連絡事項を伝えてくれた。


「はい。じゃあまた頑張りましょうね。イベント事が多いので準備も忘れずに。」


ホームルームが終わった。


教室から出るのかと思ったら先生はこちらにやってきた。


「ユリちゃん。………ごめんね、お見舞いに行けなくて………。」


「気にしないでください、遥さん。」


「………これ。私から沙那姉ちゃんとりい姉ちゃんに妊娠祝い渡しておいてくれない?今日出張だから。」


「ありがとう……。確かにお預かりしましたから。」


「それと、いつも正式な書類は漢字表記だったけど普段でもよければ使って。」


「………依存はありません。」


あの親バカみたいな漢字……でもちゃんと名付けてくれたから許そう。


私にさっと頭を下げて忙しそうに教室を出て行ってしまった。







実は今日は何もない。


始業式はランクに合わせたクラス替えを行うだけ。


今年は文化祭実行委員じゃないから仕事もないし、今日はもう帰ろうかな………


腕を天井の方へぐっと伸ばしてソファーでボーッとしていたとき………。
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