お嬢様の秘密Ⅱ
「………ユリ。」


いきなり視界が真っ暗になったと思ったら、唇に何か感触が。


「「「キャーーーー!!!」」」


女の子たちの悲鳴と男の子の凝視した表情が一斉に私の方へきた。


私も突然のことでぽかーんとしていた。


「言っとくけどユリは俺の彼女だから。真理亜はユリの盾になってくれただけだ。」


初めて教室で私のことを名前呼びした………葵。


「そうよ。」


「お姉様………。」


車椅子から降りてゆっくりと歩いて私のところへきた。


手をギュッと握られる。


「………お父様を教えてくれてありがとう。」


「………でもお姉様が望んだ形で教えて差し上げられなかった。

理央がお姉様の執事になった初めの理由はお姉様の近辺調査を私が依頼したからだし。」


「そうね……。でも私は私を取り戻せた。それは紛れもなくユリのおかげよ。」


うっすらと浮かんでいた涙はとても綺麗に光っていた。


「大樹様が私を正式に養子登録してくださった。ジャックとお母様は私を捨てたから。」


「………会えなかったんじゃないですか?捨てていないと思います。恵梨香様だってお姉様と同じように療養が必要で。

その為に離れることを決意したと思います。………ジャックは校医として残っていますから会いに行ってください。」


伝わるかな………。
< 296 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop