お嬢様の秘密Ⅱ
お姉様は私から体を離して肩を押した。


バランスを崩した私を支えたのは葵だった。


「真理亜の謝罪のためにユリに注目させてやったんだ。もう返せ。」


「あら、嫉妬深い男は嫌われるわよ?ユリ、嫌になったらいつでも私に言って?理央にお願いするから。」


「り、理央兄………!痛いところついてきやがった!」


真理亜の意地悪そうな微笑みの前に葵は屈していた。


その様子をみた夏菜は………


「さあみなさん、ユリには手を出せないことがお分かりでしょう?と、く、に、男子の皆さん?」


満面の笑みでギャラリーに喋っていた。


なんで膝から落ちているの?


「ユリ、なんであいつらの方見てるんだよ?」


ジリジリと近寄ってくる葵から逃げていたら、背中が当たった感触が………


教室のロフトに上がってしまっていて逃げ道はなかった。


パンっと私の顔の横に手をついた。


「これでやっと堂々と付き合えるな?」


顎を葵の方に向かせられて顔が近づいてきた。


「ここ教室だって!」


「見せつけてやろうじゃないか。」


熱っぽい瞳に囚われたまま葵にキスされた。


下から聞こえる悲鳴は不思議と聞こえなくなってしまった。





長い口付けを終えて、私は葵にもたれかかった。


「見せつけてくれたわね?高澤君。」


「ああ、じゃあ皆さんごきげんよう。」


私は葵にお姫様抱っこされて、教室を後にした。


校舎じゅうからの大絶叫は酷かったことは言うまでもない………よね。
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