お嬢様の秘密Ⅱ
「でもぐっすりお休みになっていたのもあって治りが早いですね....。」


診察を終えたジャックがぽつりと言う。


「あはは...。」


苦笑い。


寝るのだけは昔から好きなんです。


とりあえず体を起こそうとしたけど上手く力が入らない。


グラッと倒れそうになったところを葵が受け止めてくれた。


私の大好きな香りが鼻をくすぐる。


「無理するなよ.....。」


「ごめんなさい...。」


涙腺が緩みそうになる。


「みなさん、ここは私たちは一旦外に出ましょう。葵はここにいて。」


え....?


「じゃあ葵、10分だけ時間をあげるわ。」


と、夏菜達はウィンクして部屋から出て行った。


-ガラガラガラ.....


ふ、ふたりっきりー!?


「やっといなくなってくれたか....。」


葵がひとつため息を吐いた。


「ユリ。これで泣けるか....?アイツ等の前では泣いちゃいけないって思ってんだろ?」


なんで....なんでわかったの?


「浅井がずっとユリのベッドにいたんだよ。そこに俺が来たとき、俺を見て安心したように笑ったんだよ浅井。

頼まれたんだ。『ユリは私の前では絶対に泣かないから....高澤くんなら大丈夫だよね?』って。」


夏菜....。


「夏菜....。玲央....。今までごめんなさい....。」


「ユリ、幼なじみ大事にしてるんだったら笑え。謝るな。2人はユリの精神負担の大きさを一番気にしてるんだから。」


「ありがとう...。」


「そうそう。それでいい...。」
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