お嬢様の秘密Ⅱ
「お嬢様、起きてください。もう着きますよ。」


ああ、私お祖父様のお膝にいつの間にか眠ってたの………


「寝顔はかわいいのう………。奈々子にそっくりじゃ………。」


着陸し、今度はお祖父様に抱っこされて屋上に降ろされた。


「会長、お久しぶりでございます。ご準備は整っておりますので………って。」


支配人らしきスーツをピシッと着た人に目を見張られた。


「奈々子様………!?」


「違う、わしの孫じゃ。挨拶はまた後で聞くからとりあえず入ってもよろしいか?」


「はい………失礼いたしました。」


私って初対面の人に錯覚されるほど似てるんだ………としみじみ思っていた。





「先ほどは大変失礼いたしました。支配人の秋本雅彦です。では私たちは会場の残りの準備がございますので失礼いたします。」


作法がすごく丁寧………。


私もあんな風になりたい。


「ユリ、さっきのがいとこ。ホテル経営を全て任せている。今後も会う機会はあるから覚えておきなさい。」


「はい、お祖父様。」


「さあ、準備しておいで。隣の部屋に雪穂が厳選した山岸家のメイドがいるから。」


今日、私たちが大阪に来た目的は………。


正式に私を孫として紹介すること。


私はお気に入りのロングコートをクローゼットにかけて、隣の部屋に向かった。
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