お嬢様の秘密Ⅱ
パーティー開始まであと30分を切った頃。


「終わったか?ユリ様。大旦那様がだいぶ楽しみになさっているけど………。」


「………終わったわ。」


ソファーでぐったりしている私をそっと立たせてくれた。


「よく似合っているな、ユリ様。葵もパーティーでいないから俺が代わりに相手するから。」


「あら、夏菜に嫉妬されるのは私よ?」


「許可済みだ。ユリなら舌入れても許すとまで言っていたし。」


……夏菜って寛容すぎない!?


「桜井家で俺だけ純粋だって言ったらユリだけなら遊んでいいって言われたけど?

もともと業務内容だったらしょうがないよね、だってさ。」


「修羅場になるからもうこの話は他言無用で。」


葵が聞いたらヤバイですよ。


「だな。じゃあ行こうか、ユリお嬢様。」


そっと出された右手に手を添えてお祖父様たちのところへ向かった。





「おお、ユリ。よく似合っているな。さすが葵の選択だ。」


「お褒めいただき感謝いたしますわ、お祖父様。」


ここからはお嬢様モードでいかなきゃ。


「もう皆さんはお集まりだと伺ったのですが?」


「そうだな………。わしに考えがあるから、しばしユリはそれに付き合ってくれないかのう。」


なんか………嫌な予感がする。


「お祖父様のお頼みとあればしょうがないですわ。受けて立ちましょう。」


いたずらっ子のような笑みを浮かべたお祖父様は考えを話し始めた………。
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