お嬢様の秘密Ⅱ
お祖父様に普通に入っていけと言われて受付を済まし会場へ入った。


空いたテーブルがあったので、陣取ってお祖父様たちを待つことにした。


「ねえ、何か食べてもいいかしら。」


「そうでございますね………。私が取りに行きますのでしばらくお待ちください。」


玲央はバイキングコーナーへ取りに行ってくれた。


私はボーイを呼んでオレンジジュースを頂いた。





「すいません。お隣よろしいですか?」


中年ぐらいの男性が私に声をかけてきた。


「ええ。どうぞお構いなく。」


さっと作り笑いをし、私は玲央を待つことにした。


再び飲もうとグラスを口にした時、うなじを触られた。


「………どういうおつもりですか?」


後ろを振り返らずに話しかけた。


「………分かっているでしょう。あなたもこれくらい経験があるでしょうし。お持ち帰りということですよ。」


………私って遊んでいるって思われてるの?


「………淑女に許可なく触るのは感心いたしませんわ。」


ヒールで男の革靴を踏みつけてステージの方へ移動した。






「お嬢様、移動したのが早めに分かって良かったですが………。」


「たまたま取ったテーブルが人気なくて。淑女に許可なく触るなんて馬鹿にしてると思わない?」


「私が離れたばっかりに………。」


お互い演技が白々しいけど………


「そろそろ始まるわね。」


だんだん暗くなっていった会場を見てポツリとつぶやいた。
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