お嬢様の秘密Ⅱ
………玲央から冷気が漂ってきている。


これは経験上1番怒っている証拠………なのに女たちは気づかない。


女を振りほどいて、私に耳打ちした。


「ユリ、アイツがお祖父様の協力者だ。顔見れば来てくれるから呼んできて。」


玲央は私にだけ分かるように隣のテーブルを指差した。


私は落ち込んだようにテーブルから離れると女たちは勝ち誇った笑みで私を見ていた。


「すいません………。私が分かりますか?」


玲央の指示通り隣もテーブルにいた人に声をかけた。


「OK! Just a moment!」


お祖父様の協力者って外国人だったのね………。


玲央は口パクでサンキューと言っていたけど、何する気?


「ユリ、こっちにおいで?」


再び絡まれた腕を振りほどいて、私を引き寄せた。


腰に手を回されて動けない。


「こいつに勝てる自信があるなら、こちらの方に何か挨拶でもしてくれない?」


女は笑みを浮かべているが額に汗が見えている。


「あなたが先にやりなさいよ!」


………本当にいいの?


ちらっと顔を上げて玲央見れば、かなり不機嫌だったからさっさとやろうと決めた。
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