お嬢様の秘密Ⅱ
「優莉、いらっしゃい。」


「お祖父様!」


食事を済ませて玲央と他愛ない話をしていると、お祖父様がいらっしゃった。


笑顔を浮かべてお祖父様に頬にキスをする。


「そうじゃ、秋本家主催じゃから言っておかねばならんのう………。」


お祖父様は私を横抱きにした。


「この子はわしの孫じゃ。ここでわしが孫を紹介したことがどういうことか聡い皆さんならお分かりでしょうな。」


ちらっと周りを見渡すと、さっきナンパしてきた男は顔を真っ青にして床に座り込んでいた。


「………お祖父様、さっき背中を触ってきた方がいらっしゃったの。怖かったわ………。」


下ろしてくださったお祖父様に抱きついて泣いている………ふりをした。


「違う、俺はそんな女………。」


……今、男3人のコメカミが動いた………。


「わしは名指ししたか?ユリも人を指差したか?」


「いいえ。全く。」


「ただお話なさっただけですわ。」


ギャラリーが口々に賛同し、男の方へ冷たい視線を注ぐ。


「路頭に迷いたいのか、貴様。聞くところによれば嫌がる女性を無理やり連れ帰ったというそうじゃないか。

ホテルの監視カメラに映っておったぞ。」


「まあ、だったら………。」


「そうだな。白紙だな。」


お祖父様から睨まれたという理由で提携計画が次々と白紙になっていく。


男は走って会場を出て行った。
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