お嬢様の秘密Ⅱ
夏菜が隣の部屋に向かった後、私は扉に迫られた。


「………葵だってカウントダウンパーティーだったでしょう?」


タキシード姿だから東京から大阪まで急いで来たのかな。


「あんなもの親父に押し付けた。」


肩を押さえられて、顔を近づけてきた。


「お前は誰のものか刻まないと分からないのか?」


私を横抱きにして、靴を乱暴に脱がせる。


そのまま寝室のベッドに直行した。


そっと私を下すと、頬に手を当ててそのままキスしてきた。


「……………っ………ふぁ………んんっ………。」


抵抗できない激しいキスだった。


獲物は逃がさないかのように噛み付くようなキス。


葵はネクタイを緩めて私振袖の帯を解いてきた。


片手で器用に外されていって………むき出した肌に直接触れられる。


「………あっ………やめ……て………。」


泣きそうな声になってようやくやめてくれた。


「怖いよ………。」


「ごめん………。玲央がお前の腰に手を回しただけなのに俺のものって宣言された気がして………。

嫉妬をぶつけてしまった。ごめん………。」


葵は私に背を向けた。


「………私は葵のものでしょ?」


葵の手をぎゅっと握った。


「嫉妬してくれて嬉しいかも………。」


「俺、毎回こうなるぞ?」


「葵が私を好きならいいよ?」


泣きながらなんとか笑って見せた。
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