お嬢様の秘密Ⅱ
「これで邪魔はいなくなったわ。大樹、改めて久しぶり。留学は楽しかった?」


そうか....。


俺はフランスから日本に帰ってきて実家に戻っていないんだ....。


「僕が小学生の時から行っていたから....6年ぶりぐらいでしょうか。」


正確には俺がいつから留学していたかなんて覚えてないのだけど。


改めて見たおふくろはだいぶやつれてしまっていた。


まだ40歳手前だったはずなのに.....。




「女が寄ってきて疲れるばかりで楽しむ余裕がなかったのかしら?」


「全くその通りでございます。」


「でも今のあなたはいい顔してるわよ。.....好きな人でもできたのかしら?」


俺の好きな人か.....。


「好きかどうかはわかりませんが、初めてあった時から気になる方はいます。」


「まあ!会ってみたいわ!!ちなみにどなたかしら?」


お母様の顔色が少し良くなったみたいで正直ほっとした。


会社の副社長でもあるし、お疲れになってしまわれたのだろうか。


「彼女本人からは一般庶民だといわれ、私と関わろうとしてくれないのです。」


「だってあなたを怒らせたらと考えてしまうと一般家庭の子は大変だものね....。名前は聞いてないの?」


「あぁ.....。名前は....。」


たしか。


「山岸莉依紗という方ですよ。」


「婚約者候補の西月様ではないのね。」


「すいません。おそらく婚約確実の方なのに好きになることができなくて.....。」


「でも山岸様は気になっているのでしょう?」


「ええ...まぁ....。」


「それがあなたの本当の答えよ。.....誠ちゃんそこで盗み聞きしないで入ってきなさい。」




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