お嬢様の秘密Ⅱ
すると大樹のお母様は目を丸くされた。


「もしかして………ううん。何でもないわ。ねえ大樹、少し出て行ってちょうだい。」


「は?何故ですか?」


「そりゃ女同士で話したいことがあるからよ。ほら、早く!」


「ったく。じゃあ莉依紗、お袋をよろしくな。」


う、うそでしょ!?


でも大樹は出て行ってしまった。


「邪魔者はいなくなったわ!」


大樹のお母様はすごく嬉々としている。


「あの……なんとお呼びすれば……」


「あら。もちろん“お母様”に決まってるじゃない!」


「しかし私は………」


その呼びかけ方は婚約者の方が相応しいのでは?と言おうとしたけど。


控えめに笑って、「その件は気になさらずともよろしくってよ。」とおっしゃった。


「いろいろ事情があってね………。正式って発表されているけどそうでもないのよ。」


「え………!?でもえりー………恵梨香さんは………」


すごく喜んでたのに………


「あなたもしかして恵梨香さんの………」


「はい。幼なじみなんです。だから婚約発表を聞いた時………」


これ………言ったらダメだよ。


はっきりと認めてしまうことになるし、何より関係者の目の前。


「誰にも言わないから教えて?大丈夫よ。何も気になさらないで。」





私は言ってしまった。





「親友の婚約を素直に喜べなかったんです。今日それで………今までで初めてもめてしまって………」


お母様は眉を下げてうんうんと頷いて聞いてくださった。


「廊下を飛び出してさまよっていたところを大樹……大樹さんにここへ連れてこられたんです。」


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