お嬢様の秘密Ⅱ
数分の沈黙………。


「よかったわ。」


そう言った大樹のお母様の声で沈黙は破られた。


「正直に言ったわね。」


私は顔を赤くしてしまった。


「あ、でも………」


「婚約者の件に関しては気にしないで。むしろその気持ちを吹っ飛ばす気でいなさいな。」


「でも私と大樹さんとでは………あまりに釣り合わなさすぎて………」


だからこの気づいた気持ちにはフタをするしかないんだ。


「莉依紗さん。あなたは釣り合うために付き合いたいの?」


…………え?


「ち、違います!私をさり気なく気遣ってくれる優しさとか、何でもこなしていく大人っぽさとか………。

そういう面に憧れているうちに………いつの間にか惹かれていたんです。」


あ、言ってしまった。


「莉依紗さんの百面相かわいいわ。」と、笑われてしまった。


「大樹のことをそう言ってくれる子がいてなんか安心したわ。同年代の子からは後継者として外面しか見られてなくて………。

少し心配になったのよ。」


お母様はそう思われてたんだ……。


「私から言うのはよくないと思うのだけど。大樹もきっとあなたと同じ気持ちでいると思うわ。

大樹はいつも年相応の態度を全く見せずに常に大人のようにして振舞っていたの………。

自然体で我を見せてて楽しげに話しているところは初めて見たわ。」


「そうなんですか?」


「ええ。だからここに来た時大樹を見て驚いたわ。今までで一番楽しそうな表情を見せてくれるんですもの。」


そんなに……


「だから自信持ちなさい。……今も廊下でそわそわしているはずよ。」


お母様がそう言った途端。


「話し終わったか?」


と言いながら大樹が入ってきた。
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