お嬢様の秘密Ⅱ
−大樹side-


「さて話って何かしら?」


さっきのお袋の雰囲気とは180度違い、完全に副社長としての顔だった。


ーさすがの俺でも萎縮するほどの威圧感


体調が悪かろうと、そこにいるのは副社長。


「親父からたった今、連絡をもらって、年末にフランスへ行けとのことでした。」


「え?誠ちゃんはいきなり何を言いだすのよ!あなたは4か月ほど前に戻ってきたばかりじゃない。」


「正確には親父の秘書から。………お袋に言いたくないんだけど。」


「何?」


目つきを鋭くして俺を威圧してきた。


「先ほど……倒れたって………。過労だから大事には至らないって……。」


「え…………」


お袋が急に顔を青くして背もたれに倒れそうになった。


「おっと。」


「ごめんね大樹…………。私のせいだわ………。」


「何でお袋が責任感じるんだよ?」


「今2人分の仕事をさせてしまってるから………。ただでさえ1人分でも多いのに………。」


……………。


「会議中に倒れたから重鎮にしか把握していないことだ。お袋、俺は言われたんだ。



高3まで代わりをしてください………ってな。」


「あなたは一応大学修了してるものね………。そうね、2人分の量を1人分の量まで減らすには3年はかかるからなのね。

恐らく1カ月くらい療養したら治るけど、この状態で仕事に戻ったらまた倒れる恐れがあるからってことかしら?」


「そういう感じ。その間婚約は薄く繋げておくと秘書が言ってた。」


「ねえ。………あなたはあの子のことどう思ってるの?」


「…………あの子って?誰のことですか?」


お袋は小さく息を吐いた。


「莉依紗さんのことに決まってるじゃない。」



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