お嬢様の秘密Ⅱ
「それなら………お礼はこれでいい。」


「え?何すれば………」


私が大樹を見上げた時、顎を掴まれ………








ー触れるだけのキスをした







「いただいだぜ。お礼。」


放心状態。





そういえば………





「ファーストキスだった………。」


奪われたのは大樹でよかったかも………。


「顔真っ赤。まだやっていい?」


何を、と言う前にまた大樹の唇で塞がれた。


「ん………んんっ……だ、いき………」


さっきと違ってかなり激しいキスだ。


やっと解放してくれたけど足から力が抜けそうになったところを受け止めてくれた。


密着してる………恥ずかしい。


「なあ莉依紗………。」


「なあに?」


「3年………待っててくれないか?」


「え…………?」


「帰ってきた時にちゃんと気持ちを伝えるから。親父の代わりにしっかり会社まとめてくるから。」


「3年以上かかったら待ってあげないんだから。だから…………3年待ってる。



だから必ず気持ち教えてね?」


なんとなく大樹の気持ちは分かる。


だけど、大樹は婚約中の身だから軽々と口に出すことは出来ないんだ。


「サンキュ、莉依紗。他の男に目移りするなよ?」


「しないわよ。」


「それと………。」


まだ何かあるのかしら?


「竜也を日本に残すことは出来ない。だけど竜也の弟の雷也が執事の資格、sランク執事の資格を取ったから年末にイギリス留学から帰ってくる。

だから、雷也を莉依紗の第2執事にしろ。学園長にはバレないように口利きしておくから。」


「いいよ、そんな………」


「莉依紗!…………おれはお前が苦しんでる姿を見たくねぇんだ。

前ならお前をいつでも助けられたけど、今度ばかりはそうはいかない。俺がいなくなった途端もっと酷いことがあるかもしれない。



これ以上傷ついてほしくないから…………守りたいんだ。だから俺の頼み聞いてくれるな?」


「分かったわ………ありがとう。」


お礼に私から頰にキスをした。


「時々母さんの様子も見てやってな。」


「分かりましたわ。大樹様。」


久しぶりにお嬢様らしい態度をとって茶化して見せた。






そうして年末、大樹はフランスへと旅立った。


あの時の約束で、3年間はお互い全く連絡を取り合わないことに決めた。
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