お嬢様の秘密Ⅱ
「これからどうするの?莉依紗さんはまだ全部は思い出してないようね。」
「左様でございますね………。」
なんとなく思い出せた。
大樹のことを思い出せたのはお母様のおかげ。
だけど………まだ何かを思い出せていない。
………一瞬にして忘れてしまうほどのショックを受けた原因が。
思い出そうとすると頭が受け付けないし過呼吸になってしまう。
「思い出さなくていいわ。生活に支障が出ない程度に思い出せれたみたいだし。もしかして春日高校?」
「はい………安藤学園長………通称シルバー様が莉依紗様の担任となるそうです。
しかしなぜ春日高校だとお分かりに?」
「だって私と雪穂の出身高校だもの。」
「お、奥様の出身高校!?公立なんですか?」
「ええ。裃は嫌だったから当時近くにあった公立高校にしたのよ。誠ちゃんも辰彦さんも。」
雷也が驚いているのも珍しい。
「安藤君は私たちより少し後輩だったかしら。顔が効くのよ。」
そんなつながりが………
お母様は私のほうに向き直った。
「何はともあれ。絶対に無理して思い出そうなんて考えないこと。あの高校からはこの病院は自転車でも来れる距離だから。
困ったら私を頼りなさい。莉依紗さんならなんでもしてあげられるわ。
私にとっては娘同然なんだから。」
「…………お母様…………。」
微笑んだ姿は凛としていて………女神様のようにも見える。
「はい………大樹が戻ってくるまで私は大樹に釣り合えるようにがんばります。」
「あら。もう十分よ。あなたは………そうだ言ってはいけなかったかしらね。あなたはただ自信を持つだけでいいのよ。」
何を言ってしまいそうになったんだろう………。
「莉依紗様……いや、今は第一執事なので、お嬢様。そろそろ行きましょう。」
「そうね………お母様、また顔出しますね。」
「ええ。待ってるわ。」
軽く手を振ってくれたお母様に見送られ、私たちは病室を後にし、ヘリに乗った。
「あなたの学生時代にそっくりじゃない………雪穂。」
お母様は病室でぽつんとつぶやいていたのも知らずに………
「左様でございますね………。」
なんとなく思い出せた。
大樹のことを思い出せたのはお母様のおかげ。
だけど………まだ何かを思い出せていない。
………一瞬にして忘れてしまうほどのショックを受けた原因が。
思い出そうとすると頭が受け付けないし過呼吸になってしまう。
「思い出さなくていいわ。生活に支障が出ない程度に思い出せれたみたいだし。もしかして春日高校?」
「はい………安藤学園長………通称シルバー様が莉依紗様の担任となるそうです。
しかしなぜ春日高校だとお分かりに?」
「だって私と雪穂の出身高校だもの。」
「お、奥様の出身高校!?公立なんですか?」
「ええ。裃は嫌だったから当時近くにあった公立高校にしたのよ。誠ちゃんも辰彦さんも。」
雷也が驚いているのも珍しい。
「安藤君は私たちより少し後輩だったかしら。顔が効くのよ。」
そんなつながりが………
お母様は私のほうに向き直った。
「何はともあれ。絶対に無理して思い出そうなんて考えないこと。あの高校からはこの病院は自転車でも来れる距離だから。
困ったら私を頼りなさい。莉依紗さんならなんでもしてあげられるわ。
私にとっては娘同然なんだから。」
「…………お母様…………。」
微笑んだ姿は凛としていて………女神様のようにも見える。
「はい………大樹が戻ってくるまで私は大樹に釣り合えるようにがんばります。」
「あら。もう十分よ。あなたは………そうだ言ってはいけなかったかしらね。あなたはただ自信を持つだけでいいのよ。」
何を言ってしまいそうになったんだろう………。
「莉依紗様……いや、今は第一執事なので、お嬢様。そろそろ行きましょう。」
「そうね………お母様、また顔出しますね。」
「ええ。待ってるわ。」
軽く手を振ってくれたお母様に見送られ、私たちは病室を後にし、ヘリに乗った。
「あなたの学生時代にそっくりじゃない………雪穂。」
お母様は病室でぽつんとつぶやいていたのも知らずに………