お嬢様の秘密Ⅱ
お祖父様の射抜くように視線に一瞬怯えてしまった。


でも私はしっかりとお祖父様の目を見つめ返した。


「はい。目指します。お祖父様。」


緊張の糸が張り詰める。




「ふっ……………。立派に育ったな、莉依紗。」


立ち上がって私の頭をそっと撫でてくれた。


「昔はあんなに小さくてすぐ泣く子だったのにな……。」


目の前にいるのはただの祖父だった。


「昔武術は少し教えたな。」


「ええ。教えていただきましたね。ピッキングもハッキングも。警察官なのに大丈夫!?って心配したものでしたよ。」


何回かチンピラに絡まれてしまった人を助けたことがあるけどお祖父様やお父さんが教えてくれた我流の技で………


「いっとき喧嘩強かったわね。確か………舞い降りた蝶姫?って異名だったかしら?」


「なんで知ってるのお母さん!!」


「和人があなたの見張りをしていて教えてくれたわ。」


私は入り口の方をキッと睨んだ。


「ハッハッハッ………。それだけ豪快だったんだな。じゃあ儂とパーティーに行ってもらっても平気だな。」


「え?お義父様!?まだ公表しないって………!」


公表?


「そう。まだお前達のことは公表しておらんのよ。安心せい、雪穂。公表は高校を卒業してからじゃ。」


「はい。分かりました。それまでにいろいろ身につけておきます。」


「また来るな。状況を見せてもらいに。」


そう言うと、次の仕事のために大急ぎで帰られた。


お祖父様、お父さん達………。


守ってくださった分はゆっくりとお返ししていきますから。


それまで思い出せない記憶とは別れさせてくださいませ………






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