お嬢様の秘密Ⅱ
「大樹、そんな暗い顔しないでよ、なんだか私もう死んでるみたいじゃないの。

しょうがないわ、莉依紗さんが眠っている間に教えてあげるわ。」


「もしかして……」


「そう。私の飲んでたコーヒーに何か仕込んだ人、それはね……」



やっぱりそうだったのか………


俺の予想は当たっていた。


「莉依紗は……」


「知らないし、今は記憶喪失よ。」


仲良かったのになんで。


俺と仲良い友達はそんなやついないのに。


お前らに何があったんだよ……


「ん……ここってどこ?」


起きたな。


「お袋の病院。体調はどうだ?」


虚ろな目が俺を捕らえた。


「大樹……どっか行っちゃったかと思って不安になってたの。夢でも。」


俺はソファで寝ていた莉依紗を抱き起こした。


「どこにも行かないから心配するな。」


俺にしがみついて泣き始めた莉依紗はとても愛おしく感じた。


「あらあら、我慢しすぎたのね。なんだか妬いちゃうわ。」


「ごめんまた来るわ、お袋。」


「え!?あ、ごめんなさい!!」


離れようとする莉依紗の耳にキスをした。


その途端ピクッと止まった。


「大人くしなよ、姫。じゃあな。」


「待ってるわね。」


病室から出るときに見たお袋の顔はとても弱々しく見えた。
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