お嬢様の秘密Ⅱ
実家から歩いてほんの数分。


焼けないように傘を差しているけど効果は期待できないわね……。


歩いて行くと言ったらメイドがすごく心配そうな顔をしていたわ………。


私の家の柵から完全に抜けたところに私の家に負けず劣らず大きい家が見えてきた。


私の家、こんなに広かったのね………。


「こちらが西月家でございます。お嬢様は一度も中に入られたことはございませんよ。」


「え?どうして?」


「お嬢様のお家柄は隠されていたので西月家はあなたのことを庶民だと認識していたようです。

西月家は家柄を何よりも重視する傾向にございますので。

恵梨香様もその考えを強く引いており、お嬢様の家の中どころか門の前すら来たことはございませんよ。」


そうだったんだ………。


どうりで来ても特に何も思い出せない。


ふと私はあることに気づいた。


「徹底してたのね………。ねえ、なんかこの家変じゃない?」


「と申されますと?」


「人気がないわ………。」


そう。


外見は綺麗に保ってあるのだが中を遠目から覗いてみると人がいるようには思えない。


「そう言われるとそうかもしれませんね……。調べてみますので今日のところは戻りましょう。」


「そうね。収穫は思ったよりも期待できなかったし。」




後から調べて分かったことだが………


大樹が帰国してきた日頃に売り払われていたそう。





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