お嬢様の秘密Ⅱ

対立

「え………恵梨香…………。」


開け放たれたドアの前には休んでいた恵梨香が立っていた。


「御機嫌よう。お久しぶりですわ皆様。」


挨拶は丁寧だけど、目はまっすぐ私を向いている。


「あなた、記憶喪失らしいじゃない。莉依紗。」


どうしてそれを知って……。


国松が私に近寄って来たのを急いで制した。


大樹は今日はたまたまいない。


渚が予言した“逃げるな"って言うのはどうやら今この状況のようね。


「まだ思い出さないの………?じゃあこれを言ったら思い出すのかしら………。


りー………私よ、えりーは。」





頭の中の靄が一瞬にして晴れていった。





「…………えりー…………。」


「私をそうやって呼ばないでって言ったでしょ、莉依紗。」


「ねえ、………恵梨香どうして?どうしてなの………。」


私の知っている恵梨香………えりーはあんな子じゃなかったのに。


今、クラスは恵梨香の変容ぶりに騒然としている。


「婚約者を取らないでよ。おかげで母様に言われて行ったことが竜也様にばれて婚約解消。

あなたのせいよ、あなたにせいで………。


好きな人に直接婚約解消された私の身にもなってみなさいよ!!」


婚約者をとった………


結果論はそうだけど………


じゃあやっぱり私が悪いの………?


「まあいいわ。婚約解消をされたけど私には最終手段があるわ。」


私は頭が真っ白になって何も考えられなくなっていた………。
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