記 憶 喪 失 ー あなたは誰? ー
「ちょっと!彩ちゃん!?」
おばさんが呼び止めるけど、
振り返ることはない。
ただ、走る。
___…。
見慣れた大きな家が見えてきた。
…ウチの家だ。
いつの間に…。
「ただいまー。」
「お帰りなさいませ!お嬢様!!」
沢山の声が聞こえる。
…そう。
ウチの家は自分で言うのもなんだけど
…結構、金持ち。
会社の令嬢だもの。
「どうしました?」
新入りメイドの
みのりが言った。
「いえ…なんでもないわ。」
そう言って、ウチは自分の部屋へ急いだ。
家は、広すぎて
自分の部屋しか場所は
覚えていない。