REAL-リアル-
「純起きなさい」
「んー・・・」
今日は入学式
新しい制服に袖を通す
急いで朝食を済ませる
あたしは方向音痴が神級だから
早めに出なきゃいけない
「行ってきます」
新しいものに身を包み
卒業式の時の写真を見て微笑む
"お前ら
元気でな。やりたいことあったら全部やれ
青春しろー"
先生らしい言葉
これが最後の担任の言葉
皆で卒業式が終わってからも語り合った
あたしはその場から急いで校舎裏へ行った
「ごめんな」
「ううん大丈夫」
「俺さずっと純の事が好きだった
よかったら俺と付き合ってください」
後ろの席で楽しかったけど
好きという気持ちはなかった
あたしが気持ちを振り回してたなら
申し訳ない
「ごめん」
「そっか・・・
大丈夫だよ
クラスに戻ろうか?」
「うん」
あたしは今まで結構告られたけど
付き合わなかった
あたしに合う人がいなかったからね
って言うのは嘘で
ピンとくるひとがいなかった
好きになった人もいた
けど
初恋の人には叶わない
初恋の人の
名前も顔ももう分からないけど・・・
大好きだった
クラスに戻って
皆で泣いて笑って
最後の中学校生活を終えた