REAL-リアル-
「帰りのあいさつをします。さようなら」
「「さようなら」」


帰りの会が終わると同時に
純の周りに人が集まってきた


「じゅんちゃん
わすれないでね」

「ありがとぉ」

「手紙わたすね」

「げんきでね」



何で引っ越すんだよ


俺は隣で
よくわからなくなっていた


気が付くと
長い時間が立っていたらしく

教室には
純と二人きりだった


「竜君?いままでありがとうね」

そんな
涙流しながら言うなよ

「なんで引っ越すんだ?」

「いろいろあってね・・・」



色々?
色々ってなんだよ・・・


「そっか」
そっけなく言うつもりなんてないのに
口から出てしまう


「これっ
竜君にあげる」

「えっ?」

俺のまだ小さな手には
ハートのかわいらしいキーホルダーが入っていた

いつも
純がランドセルに付けていたやつ

「これ
お前の気に入ってたやつじゃねえのか?」

「いいの。あげる」
純は笑った

何も言えなかった
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