ショートコメディの世界




病院の屋上へとやって来た。


だからと言って、別にここから飛び降りようという気は全く無いのだが、正直、気分はとても落ち込んでいる。


なんというか……今までの私の人生を、一瞬にして全て否定されたような……そんな気分だ。


例えば、あの前田。


健康になど全く気を使っていないアイツは、酒も飲むし煙草も吸う。


肥満体だし、きっと血糖値だって高いに決まっている。


しかし、花粉症では無いのだ!


なんだよ花粉症って!


今、この瞬間も鼻がムズムズするのが腹立たしくて仕方がない!



「ヘーーックショイ!
コンチクショウーーッ!」



マズイ……ついイライラして……


まるでオヤジみたいなクシャミをしてしまった。


ますます落ち込む。


屋上のフェンスに掴まって、街の風景を眺めて黄昏てみる。


あぁ……世の中はこんなに平和なのに、私は花粉症……




と、そんな時だった。



突然、けたたましく鳴り響くサイレンの音!


あの音は救急車では無い、消防車のサイレンだ。


見ると、西の方角から煙が上がっている。


あれは、私のマンションの方からじゃないかーーー!



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