ショートコメディの世界
ぶう~~~~っ!
緊張の瞬間を前にして突如鳴り響く、なんともしまりの無い音。
「誰だっ!こんな時に屁なんてこいた奴はっ!」
しかし、誰も名乗り出る気配は無い。
「誰だ屁をこいたのは!相葉君、キミか?」
「違いますよ専務!中居さんじゃないですか?」
「私じゃ無い!大島さん、あなたじゃないのか?」
「違いますよ!前田さん、あなたでしょ!」
「わたしじゃありません!あの音は絶対男性の音ですよ!」
「屁の音に男とか女とかあるのかよ!」
「いや、あるかもしれん!あの豪快な音はやっぱり恰幅の良い櫻井常務では?」
「誰がデブだっ!二宮!そういうお前が一番怪しい!」
「俺がそんな無神経な事するかっ!
櫻井じゃなければやっぱり相葉だ!」
「何でそうなるんだ!いくら常務でも失礼にも程があるぞ!」
誰が屁をこいたかで思いのほかヒートアップする容疑者の七人……
その様子を目の当たりにしている全田一は、困惑の表情を隠せないでいた。
「あのぅ、皆さん……社長殺害の真犯人なんですけどね……」
「やかましい!今はそれどころじゃない!すっこんでろ!」
「えええ~~~~~っ!」
もはや、全田一はすっかり蚊帳の外である。
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