ショートコメディの世界





ぶう~~~~っ!




緊張の瞬間を前にして突如鳴り響く、なんともしまりの無い音。


「誰だっ!こんな時に屁なんてこいた奴はっ!」


しかし、誰も名乗り出る気配は無い。



「誰だ屁をこいたのは!相葉君、キミか?」


「違いますよ専務!中居さんじゃないですか?」


「私じゃ無い!大島さん、あなたじゃないのか?」


「違いますよ!前田さん、あなたでしょ!」


「わたしじゃありません!あの音は絶対男性の音ですよ!」


「屁の音に男とか女とかあるのかよ!」


「いや、あるかもしれん!あの豪快な音はやっぱり恰幅の良い櫻井常務では?」


「誰がデブだっ!二宮!そういうお前が一番怪しい!」


「俺がそんな無神経な事するかっ!
櫻井じゃなければやっぱり相葉だ!」


「何でそうなるんだ!いくら常務でも失礼にも程があるぞ!」


誰が屁をこいたかで思いのほかヒートアップする容疑者の七人……


その様子を目の当たりにしている全田一は、困惑の表情を隠せないでいた。


「あのぅ、皆さん……社長殺害の真犯人なんですけどね……」


「やかましい!今はそれどころじゃない!すっこんでろ!」


「えええ~~~~~っ!」


もはや、全田一はすっかり蚊帳の外である。





.

< 22 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop