ショートコメディの世界



大きな歓声と共に、ソチの夜空に盛大に花火が打ち上がった。


空を見上げて満足そうな表情の大統領。


その横で、
(やっぱり花火は日本の方が綺麗だな……)
などと思いながら、それでもそんな事は口に出さずに空を見上げる日本の首相。


やがて、ひとりの少女がスタジアムに現れ、突然、宙に浮かび上がり空を舞う。


まるで絵本からそのまま飛び出してきたような、とても幻想的な演出。


スタジアム中の誰もが、そのファンタジックな美しい光景に目を奪われていた。


日本の首相は、目を細め、少女を吊っているワイヤーはいったいどこにあるのかを探していた。


そして、いよいよ開会式のクライマックス……電光掲示板に5つの丸い模様が浮かび上がった。その5つの模様が次第にオリンピックのシンボルマークを司る円へと変化していく…………筈であったのだが…………




ここで、思いがけない電光掲示板のトラブルが発生した。


模様のひとつが円に変化せず、オリンピックの大切なシンボルマークである『五輪』が完成しなかったのだ。



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