ショートコメディの世界




「花火がとっても綺麗で、マリもそれを見てとても喜んでいました……」


「そう……」


喧騒な祭の夜の、二人の姿が啓子の目にも浮かぶようであった。


「マリさん、ご病気だったの?」


少々厚かましいとも思ったが、啓子は影山に尋ねてしまった……彼が愛したマリという人物の事をもっとよく知りたいという欲求を抑え切れなかったのだろう。


「いえ、病気ではありませんでした……

彼女は…………………………………







ピラニアに食べられたそうです」



「何?」


「ピラニアです、ご存知無いですか?」


「いや知ってますよ!あの魚のピラニアですよね?」


「そうです、あのピラニアです。
弟がショップで買って来たんですが、あのバカそれをマリの水槽に入れやがったんです!」


「水槽って…………あの、マリさんってまさか…………」


「ウチの金魚です。金魚のマリちゃん」


「金魚かあぁぁ~~いっ!!」


「そうですよ。去年の夏祭りの金魚すくいで初めてGETした、金魚のマリちゃんです」


「ハンカチ返せっ!てか、映画代千八百円返せっ!」




【TABOO】
やっちゃいけない事。

映画館では、携帯電話の電源は切りましょう。



END



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